ドル/円相場は、102円台後半まで値位置を切り上げる展開になっている。5月17日高値は103.31円に達しており、9日に100円の節目を突破して以降のドル高・円安基調が維持されている。引き続き日本銀行の緩和策を受けての円売り圧力も強いが、それに加えてドル高圧力も強くなっていることが、ドル/円相場を押し上げている。
米金利上昇傾向が続いている。10年債利回りは月初の段階で1.6%台に留まっていたが、足元では1.9%台まで上昇しており、日米の金利差拡大圧力が強くなっている。4月段階では株高にもかかわらず米金利は低迷状態が続いていたが、ここにきて米国債市場からの資金流出傾向が加速していることで、米金利上昇圧力がそのままドル高圧力に直結している。一部の米金融当局者からは、6月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入ペースを減速し、年末までには量的緩和第3弾(QE3)そのものを終了させるべきといった指摘も聞かれている。実際に6月FOMCでQE3の修正が行われるのかは疑問視しているが、米経済に対する楽観ムードが広がる中、金利環境からドル高(円安)圧力が強まり易い地合が続く見通し。23日には4月30日~5月1日に開催されたFOMC議事録の公表も予定されており、ここで米金融政策見通しがどのように修正されるのかに注目したい。同FOMCでは、資産購入ペースの「加速」と「減速」の双方がテーブルに乗せされていたが、実際にどのような議論が行われていたのかが、短期トレンドを決定付けることになる。
22日には日銀・金融政策決定会合も控えているが、今会合では特に大きな動きは想定されていない。金利上昇に対する検証の動きなどが見られた際に、円金利低下からのドル高・円安圧力に若干の注意が必要な程度に留まろう。いずれにしても、ドル安・円高を促すような要因にはなりづらいとみている。
今後1週間の予想レンジは、101.50~105.00円。